フリーランスが絶対やっておきたい節約術その2「必要経費と按分で節税」

フリーランスは自宅を仕事場としている人が多いはず。このとき家賃などは事業での使用分を必要経費とすることができるので、節税につながります。今回はそれらを必要経費とする方法と、どのようなものが必要経費として認められるのかをご紹介します。

目次

必要経費とはそもそも何か?

必要経費(ただ単に経費ということも)とは、収入から控除が受けられる支出のことです。事業をするにあたって欠かせない出費は「経費」とみなされ、控除を受けることができ、節税につながるのです。

青色申告、白色申告どちらでも控除可能ですが、個人事業主は事業分とプライベート分の出費が混ざってしまいがち。しかしそれらをしっかり区別することができれば、事業分は経費にできるのでぜひ頑張ってみましょう。

特に「今まではプライベートでよく使っていたけれど、仕事でも使うので出費が増えた」というような項目があれば、かなりの節税が期待できるかもしれません。以下におもな経費をまとめましたので、自分が仕事(事業)で利用している項目があるかどうかをまずはチェックしましょう。

経費の種類と内容

1.租税公課
事業で支払う税金(印紙税、自動車税)など

2.荷造運賃
荷物を送る際の梱包費用(ガムテープ、段ボール)など

3.水道光熱費
電気、ガス、水道、灯油など

4.旅費交通費
公共機関利用料金、ガソリン代、出張宿泊費など

5.通信費
電話、インターネットプロバイダ、郵便切手など

6.広告宣伝費
ダイレクトメール、求人広告など

7.接待交際費
取引先との飲食、お中元、お歳暮など

8.損害保険料
自動車保険、火災保険など

9.修繕費
自動車、パソコン類の修理など

10.消耗品費
事務用品(ペンやメモ用紙)など。耐用年数1年未満、もしくは10万円未満のもの

11.減価償却費
車やパソコンなど。消耗品に該当しない、高額な固定資産のもの

12.福利厚生費
従業員に対するお茶代、忘年会代(一次会まで)、トイレットペーパー代、慶弔費など

13.給料賃金
従業員に対する給与、賞与、退職金など

14.外注工賃
外注を頼んだ場合の費用

15.利子割引料
借入金の利子

16.地代家賃
賃貸料、駐車場料、リース料(OA機器、車、セキュリティー会社)など

17.貸倒金
取引先から回収不能となった損失費用

18.雑費
上記いずれにも属さない費用

按分(あんぶん)の計算方法

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プライベートと事業とで共有するものがあれば、事業分を経費にできます。しかしどこまでがプライベート用で、どこまでが事業用かを判断するのは難しいもの。

そこで、税務署が納得するような方法で、事業用の使用分を計算します。この方法を按分(あんぶん)といい、プライベートと事業とが混在しがちなフリーランスにとっては経費計算上、何度も登場することになります。

按分は「事業分が全体のどの程度を占めるか」を使用量や面積、時間に照らし合わせて計算します。

例)
・賃貸物件住宅のリビングで仕事をしている場合
リビング面積が住宅全体面積の何割になるかを計算。そのあとに事業でリビングを何時間程度使うかを計算する。

・自宅のインターネットプロバイダでプライベートも仕事もこなす場合
仕事での使用時間がどの程度かを計算する。比較対象となるプライベートの使用時間には、自分以外の同居家族が使用する場合も考慮する。

・仕事で自家用車を使用する場合
おおよその走行距離で旅費交通費(ガソリン代)を、使用頻度から租税公課(自動車税)と損害保険料(自動車保険)を計算する。

事業消費がどの程度かは個人差があるので「説明を求められたとき答えられる数値」であれば問題はありません。例えばデスクワークだと水道代はトイレやお茶にしか使いませんので「水道代がプライベートで2割、事業で8割」というような按分は常識範囲で考えて無理ということになります。按分した場合は計算方法などをメモするなどして、いつでも確認できるようにしておきましょう。会計ソフトでは、一度割合を登録しておくことで自動的に計算してくれるものもあります。

また、会計ソフトを使わない場合でも、表計算ソフトや手書きのノートで構いませんので、経費にするものは一覧にして必ず控えておくようにしましょう。こうしなければ証拠として残る資料がないため、経費にできるはずのものができなくなってしまいます。はじめはおこづかい帳のような書き方で構いませんから、後日見た時すぐ確認ができるよう、日付と内容と金額は間違いのないように。

どこまで経費にできる?

プライベートと事業の両方で利用しているものは、仕分けづらい場合もあります。経費にできるものをできるだけ増やして節税することはかまいませんが、プライベートな出費(家事費)まで経費にするのはNGです。

もし悩む項目があれば、インターネットで調べたり税理士に相談したりするなどしておくといいでしょう。以下、ありがちな項目をいくつかご紹介します。基本的には「その費用が事業において欠かせないもの」かどうかが判断の基準です。

例)
・打ち合わせで街に出かけたついでに、プライベートな買い物をして帰ってくる。
→打ち合わせ場所までの往復の交通費は経費。ただし買い物場所までの交通費が追加でかかる場合はその分は家事費。

ちなみに、福利厚生費と給料賃金は「従業員に対して」のものなので、一人で仕事をしている個人事業主は経費にできません。家族を専従者や従業員としている場合も基本的にNGです。

例)
・個人事業主と配偶者(専従者)とで家族旅行→ ×
・個人事業主と配偶者(専従者)と他人(従業員)とで慰安旅行 → ○
・個人事業主(本人)が旅行 → 取材や出張など証拠の残る旅行であれば、実費が旅費交通費などになる ○
・個人事業主(自分自身)に対する報酬→ ×

そのほか細かいもので言えば、お客さまへのお茶代は交際費、仕事中に自分で使ったトイレットペーパーは消耗品費、仕事部屋の蛍光灯も消耗品費といった感じになります。プライベートと共有のものは按分するといいでしょう。

経費の「証拠」を残す習慣を

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事業用の出費の控えといえば、手書きの領収書を想像する人が多いかもしれません。しかし領収書は購入したものの詳細が書かれていないため、プライベート用と一緒に購入したときや、多くの買い物をした時にはやや扱いづらいものに。とはいっても、高額商品などを購入した場合や、レシートが発行されない場合などは領収書が重要な「証拠」になりますから、できるだけもらう習慣をつけるといいでしょう。

また、ネット通販によるカード決済や代引きなどでは、基本的に手書きの領収書はないため、支払ったことがわかる明細書などが「証拠」となります。以下で確認しておきましょう。

手書きの領収書の代わりになるものの例)

・クレジットカードの利用明細書
1枚で複数の取引が確認できるので便利。カード会社のマイページなどからプリントアウトしておく。カード会社によるが、過去の分は半年~3カ月ほどしか確認できない場合が多いので、こまめにチェックを。

・レシート
プライベート用と一緒に購入した場合は、事業用だけわかるように印を。

・運送会社による代引きの領収書
代引きの場合、代金を運送会社に支払って、受け取った時にもらう「控え」が領収書になるので無くさないように。領収書は3万円以上の買い物をした場合に印紙の貼り付けが必要ですが、代引きの領収書ではこれも不要(代引き手数料に印紙代が含まれている)になります。荷物発送元に領収書の発行を申し出てしまうと、領収書の二重発行になってしまいますので注意しましょう。

もし上記控えをなくしてしまった場合や、バス代や香典費用などの基本的に控えがでない場合は、手書きのメモや出金伝票を使って記録します。出金伝票は100円ショップにもありますし、自作してもOK。そのほか通販ならショッピングサイトのマイページから、過去の購入履歴を探してプリントアウトしておくなどでもいいでしょう。

安易な経費の増やしすぎに注意

按分することで日常的な出費のなかにも経費にできるものがでてくると、さまざまなものを経費化して節税対策ができるのではないかと考えるようになるはずです。これにより経費に関する知識や意欲が高まれば、事業も順調にすすんでいくでしょう。

しかしなんでも経費にできそうだからという安易な考えで、消費を増やしすぎないように注意が必要です。個人事業主は、いくら事業用とプライベート用のお財布を別にしていたとしても、結局は「自分のお金」です。経費が膨らめば当然家計にもダメージが大きくなり、節税ができても節約ができなくなってしまいますから気を付けましょう。

さて、いかがでしたでしょうか。経費のための按分や控えを残す作業はやや手間ではあるものの、慣れてしまえば日常的な作業としてこなすことができるでしょう。もし今まで見逃していた経費があれば家計簿を見直して、按分できるものがないか確認してみてくださいね。