ECサイトのコンテンツを充実させて、ユーザーをファン化することで潜在顧客を見込み客にしたい。
サイト運営者なら誰もが思うことでしょう。
より速くコンテンツを充実させるためには、記事の執筆をライターに外注することも選択肢のひとつです。
(詳しくは「メディア運営は内製化と外注、どっちがよい?」をご覧ください)
主に記事制作の外注には、「クラウドソーシング」「記事制作代行業者」型の2つのタイプがあります。
大切なのは、それぞれのメリット・デメリットを知って、自社にあった依頼先を選ぶこと。
そこでここでは
「クラウドソーシング」と「記事制作代行業者」の違いについて解説します。
クラウドソーシングの特徴
クラウドソーシングは、インターネットを通じて不特定多数の人々に業務を委託する(アウトソーシングする)サービスです。
記事の発注をしたいクライアントとライターをつなげるプラットフォームとしては、「ランサーズ」「クラウドワークス」といったクラウドソーシングサービスが有名です。
クラウドソーシングサービスでは、記事の発注者がサイト内で募集した案件に、フリーランスや副業のライターが応募する形で記事のライティングを外注化します。
クライアントとライター、双方をマッチングさせることに特化したサービスといえるでしょう。
クラウドソーシングに依頼するには
クラウドソーシングサービスを利用する場合、発注側はまずプラットフォームにアカウント登録します。
どのプラットフォームでも無料で簡単に登録できるので迷うことはありません。
登録が終われば、どんな仕事を依頼したいかを選び(記事の執筆なら「ライティング」を選択)、どのように仕事を依頼するかを決めます。
依頼方法は3種類。
ライターを公募したうえで、選んだライターと1対1で相談しながら進めていく「プロジェクト方式」と、納品された成果物のなかから気に入ったものを選べる「コンペ方式」、そしてアンケートの回答や感想といった簡単で短い文章を一括で大量募集する「タスク方式」があります。
ECサイトに掲載するような、ある程度の文章量があるコンテンツ募集であれば、ライターとコミュニケーションをとりながら記事制作を進めていく「プロジェクト方式」を選択してください。
短い文章を募る「タスク方式」は不向きです。
また、記事を書いても採用されないリスクのある「コンペ方式」は、よほどの好条件でない限り、ライターが敬遠します。
「プロジェクト方式」を選択したら、あとはテンプレート通りにタイトルや依頼内容の詳細、必要な文字数や金額などの条件を書いていくだけです。
掲載されれば、ライターからの応募を待って、条件の合うライターを選びます。
よほどの悪条件でなければ1つの依頼に対して複数の応募が集まりますので、ライターのプロフィールや実績を参考にしながら、自社の求める記事が書けそうかどうかを判断して決めてください。
クラウドソーシングのメリット
クラウドソーシングのサービスを利用してライターに執筆を依頼するメリットには、以下のようなものがあります。
・ライティングのコストが安く抑えられる
・短期間で大量の記事作成が可能になる
・発注やさまざまな手続きがインターネットで完結する
ライティングのコストが安いこと。
これがクラウドソーシングの最大のメリットです。
クライアントが支払うコストは一般的に「文字単価×文字数」で計算されますが、クラウドソーシングでは、多くの案件が1文字1円以下の相場となっています。
記事のクオリティーを気にしないならば、1文字0.1円といった募集も可能。
その場合、3000文字の記事を依頼しても、300円しかかかりません(別途5%~20%の手数料がかかる場合があります)。
このコストの安さこそクラウドソーシングの最大の魅力といえるでしょう。
クラウドソーシングでの文字単価は、クライアントが自由に設定できます。
原則として、経験の浅い初心者ライターでも簡単に書ける時間のかからない案件ほど文字単価が安く、ベテランの上級者ライターに依頼する場合や、知識・専門性が求められる案件になるほど文字単価が高くなります。
あくまで目安ですが、以下のような単価が相場です。
文字単価を設定する場合は、自社の依頼案件と同じような募集を探して、その価格を参考にするとよいでしょう。
クラウドソーシングでは、一度に多くのライターを募集することもできます。
したがって一度に多くの記事を外注することが可能です。
たとえば急いで100記事を集めたいといったときも、100人集めることができれば、期限内に100記事が納品されます。
日本最大級のクラウドソーシングサービスであるランサーズの場合、10万人を超えるライターが登録しています。
ですから一度に多くの人数を確保することで、大量発注や急な対応も可能になるのです。
また、クラウドソーシングを利用すれば、発注や契約、ライターに対する報酬の支払い手続きが不要です。
ライターへの指示や打ち合わせもオンラインで完結するため、煩雑な手続きがありません。こうした手軽さもクラウドソーシングサービスを利用することのメリットです。
クラウドソーシングのデメリット
クラウドソーシングでライターに執筆を依頼する際には、以下のようなデメリットがあることも知っておきましょう。
・納品された記事のクオリティーにばらつきがある
・ライターとコミュニケーション不足になりやすい
・納期を守ってもらえないといったトラブルもある
クラウドソーシングでライターを募集して記事を作成する場合、納品された記事が「思っていた記事と内容が違う」「文法的におかしな点があって読みづらい」といったトラブルもあります。
クラウドソーシングには、基本的に誰でもライター登録が可能です。
そのためまだまだ初心者の方もいれば、長年にわたってクラウドソーシングでライターをやってきたベテランもいます。
登録しているライターはまさに玉石混淆。
納品される記事もライターのスキルによってばらつきがでてきます。
また、コストを抑えれば抑えるほど、クオリティーが低下する傾向があります。
一概にはいえませんが、基本「安かろう、悪かろう」です。
たとえば1文字0.5円で2000文字の記事を依頼したとします。
この場合、ライターに支払われる報酬は1,000円。
東京都の最低時給1,013円を下回ります。
初心者ライターといえど、報酬が1,000円の仕事に3時間も4時間もかけてはいられません。
そのため、どうしても質よりもスピード優先の粗い記事になってしまうのです。
ある程度のライティングスキルがある人に頼みたいなら、コストの安さだけにこだわるのではなく、プロフィールで実績や得意ジャンルをしっかりと確認してからお願いしましょう。
また、オンラインで指示を出しただけでは、自社のECサイトのコンセプトが伝わっていなかったり、クライアントの求めるものが誤解されたりしたままで記事が書き上げられることもあります。
ですから発注サイドは、自社のECサイトのコンセプトや対象読者などを明確にした指示書や構成案を用意して、ライターとのコミュニケーション不足に起因する齟齬を避けるようにすることが大切です。
できれば、納品された記事を自社のカラーに合わせて手直ししたり、校正したりすることができればベストです。
また、「納期が守ってもらえなかった」とか「ライターと連絡が取れなくなった」といったトラブルもあります。
そうしたトラブルがあってもクラウドソーシング側は「個別の取引には関与しない」のが基本的なスタンスです。
繰り返しになりますが、クラウドソーシングには、誰でもライター登録が可能です。
なかには納期厳守といったプロのライターなら当たり前のことが守れない人もいます。
すべての登録者が責任感を持ったライターとは限りません。
ライターの評価を見て、あまりにも低評価のライターは避けたほうが無難です。
記事制作代行業者の特徴
記事のライティングを外注する場合のもう一つの選択肢が、記事制作代行業者に依頼することです。
記事制作代行業者は、所属する多数のライターと連携して記事作成を請け負う会社です。
クラウドソーシングの場合、発注側はプラットフォームを通して、応募してきた個々のライターに記事を依頼しますが、記事制作代行業者に依頼する場合、発注側は会社に記事作成を依頼して、記事制作代行業者の責任者(ディレクター)から所属するライターに記事作成の指示がなされます。
また、クラウドソーシングの場合、登録した不特定多数のライターのなかの一人が執筆するのに対し、
記事制作代行業者では、基本的に所属ライター・契約ライターが執筆を請け負います。
いずれもオウンドメディアや企業のWebサイトに掲載する記事の執筆を代行するサービスを行なっていて、企業のニーズや記事の難易度に合わせたライターの選定、発注や納期管理、品質チェックなども代行してくれるので、記事の作成を「おまかせ」できる特徴があります。
記事制作代行業者に依頼する手順
記事作成会社にライティングを依頼する場合、ホームページからの相談や問い合わせ、フリーダイヤルでの電話などでコンタクトする方法が一般的です。
問い合わせをしたうえで、細かな内容を伝え、見積もりをだしてもらって納得すれば正式な依頼となります。
依頼を受けた記事制作代行業者は、案件に適した専属ライターや契約ライターを選んで連絡。
クライアントのニーズやSEO対策のキーワード、対象読者層や構成案などを指示してライターに執筆してもらいます。
記事が完成すれば、記事制作代行業者から納品されますので、自社のカラーにあった記事になっているかなどをチェックしてください。
細かな直しにも対応してくれますので納得できる段階になったら完成です。
記事の内容に合った写真や画像をディレクションしたうえで納品してくれる業者やECサイトへの掲載までを請け負ってくれるところもありますので、ご希望の場合は問い合わせてみてください。
では、記事制作代行業者には、クラウドソーシングと比べた場合、どのようなメリット・デメリットがあるのか、次にそれぞれを紹介していきましょう。
記事制作代行業者のメリット
記事制作代行業者にライティングを依頼するメリットには、以下のようなものがあります。
・安定したクオリティーが期待できる
・SEO対策やコンテンツマーケティングなども相談できる
・ライターとのトラブルがない
記事制作代行業者では、所属ライターや継続的にライティング業務を発注している外注ライターに記事の作成を依頼します。
所属する幅広いライターのなかから、案件や価格に適した優秀なライターを選んで記事の執筆を依頼しますから、案件とライターのミスマッチはクラウドソーシングほどには起きません。
また、記事制作代行業者の多くは、ライターとは別に、事実確認や誤字脱字のチェックを行なう校正者を抱えています。
クラウドソーシングでライターから直接納品された記事は、自社でチェックするしかありませんが、記事制作代行業者の場合、一定のクオリティーが担保されています。
記事作成代行会社には、コンテンツマーケティングで成果を出した実績のあるライターや、SEO対策に詳しいライター、アフィリエイトに強いライターなども所属しています。
また、ライターの選定や記事のディレクションを行なう記事制作代行業者のディレクターは、経験上コンテンツマーケティングやSEO、アフィリエイトの成功事例を知っている人が多いため記事作成だけでなく、目的に応じた自社サイトの改善のアドバイスが受けられることがあります。
問い合わせや打ち合わせの際に自社サイトの問題点を相談すれば、解決策を提示してくるかもしれません。
記事制作代行業者に依頼した場合、ライターと直接やりとりすることはありません。
ディレクターを通して記事の修正や「もっと、こうしてほしい」といったリクエストを出します。
ですからライターとトラブルになることはありません。
また、所属するライターはプロなので納期を厳守します。
もちろん、執筆を途中で放り出すライターはいません。
仮に急病などで担当ライターが書けなくなっても、ディレクターが他のライターを再手配しますので、クライアントに迷惑が及ぶことはありません。
記事作成代行会社のデメリット
記事制作代行業者のメリットを挙げてきましたが、クラウドソーシングと比べた場合には、以下のようなデメリットもあります。
・クラウドソーシングに比べて文字単価が高い
・低レベルのライターが所属する業者もある
・クラウドソーシングほど手軽に利用できない
記事制作代行業者の場合、クラウドソーシングのように文字単価が0.1円といったような極端に安い単価設定はありません。
最低でも1文字1~10円が相場となっています。
仮に1文字3円とした場合、3000文字の記事で9,000円。
30記事が必要ならば27万円のコストがかかります。
法律・医療・金融工学といった高い専門性が求められる記事を資格のあるプロに依頼する場合、1文字10円を超えることもあります。
1記事の文字数と必要な記事数を提示したうえで見積もりをしてもらい、コスト計算と費用対効果を考えてから、正式に依頼するようにしましょう。
記事制作代行業者では、会社の固定費や維持費なども考えて料金を提示する必要があります。
また、ディレクターや校正者による記事のチェックにも人件費が必要になります。
そのためクラウドソーシングを通じて個人に依頼するよりも、コストがかかることになるのです。
クラウドソーシング並みの低価格で請け負う業者もあるようですが、そうした案件で中級者レベル以上のライターが執筆するケースはほとんどありません。
なかには、アルバイトに適当な記事を書かかせ、文字数だけを満たしておしまい、といったケースもありますのでコストの安さだけにこだわる方は注意が必要です。
記事制作代行業者では、担当ディレクターにどのような目的で記事を制作したいのか、どのようなライターに執筆を依頼したいのかといったことや、自社ECサイトのカラーや対象ユーザー、予算なども伝えたうえで、何度かすりあわせる必要があります。
そのため、サイト上で指示を出せば事足りるクラウドソーシングほど手軽ではありません。
場合によっては、希望単価内でライターを変更してもらったり、スケジュールを微調整してもらったりすることもあります。
記事制作代行業者を選ぶ場合、発注者と担当ディレクターの二人三脚で記事をつくっていくものと考えてください。
記事制作を外注する場合の2つの選択肢、クラウドソーシングと記事制作代行業者の違いがおわかりいただけたでしょうか。
求める記事の内容や質、予算によってもどちらを選ぶかは変わってくるはずです。
どちらが適しているかは、次のようなニーズで判断できるのではないでしょうか。
《クラウドソーシングを選んだ方がよい場合》
・とにかくコストを抑えて記事を発注したい
・速度と量産することを重視したい
・記事の修正やライター管理が可能なリソースが社内にある
《記事制作代行業者を選んだ方がよい場合》
・クオリティーを重視してECサイトを充実させたい
・コンテンツマーケティングでファンを増やしたい
・ロングテールSEOで訪問者との接点を増やし、集客につなげていきたい
こうして比べてみると、ECサイトのコンテンツ制作には、クラウドソーシングよりも記事制作代行会社のほうが適していることがわかります。
ECサイトの運営では、サイトの訪問者を増やし、売上につなげていくことが重要です。
そのためには訪問者をファンにしていかなければなりません。
ファンになってもらうには、ECサイトを1つのメディアとしてとらえて「このサイト、楽しい!」「このサイトは役立つ」と感じてもらえるだけのクオリティーをもったコンテンツを継続的に発信していくことが大切になります。
ECサイトの運営には、商品の情報を発信するだけでなく、コンテンツマーケティングの活用が欠かせない時代となっています。
記事制作代行会社を活用してECサイトをメディア化していくことも検討してみてください。