実はわたくし、何を隠そう約20年前に、とある大手出版社で雑誌の編集アシスタントをしていました。
時は1997年、インターネットもパソコンもまだ今ほどには普及していませんでした。
その当時と今で大きく変わったことといえば「雑誌からネットへ」という媒体の変遷です。
では1997年当時、どうやって雑誌を作っていたのかについてご紹介したいと思います。
目次
ライターの原稿もデザイナーの原稿も、人力で運んでいた!
当時はまだメールやインターネットが一般的ではなかったため、個人のメールアドレスなんて言うものはありませんでした。
今では信じられない話かもしれませんが、メールアドレスは共通のアドレスただ一つで、原稿の受け取りも人力、しかもフロッピーディスクやMOディスクでした。
その方法も、なんと編集プロダクションが書いた原稿のデータを持って、デザイナーのところへ電車を使って運んでいたんです!
今ならメールやWebストレージなどでデータを簡単にやり取りできますが、当時はインターネットを使っていい人は編集長クラスで、下っ端の私には権限はありません。
デザイナーさんが作ったデータをMOディスクに入れてもらって、編集部に戻ってきて校正、納期の日に必ずやってくる印刷所の営業マンにデータを渡すまでが「入稿」でした。
データの受け渡しなどがすべて人力だったこの時代、交通費がかさんで大変だったことをよく覚えています。
「パソコンはひとり1台」の環境ではなかった!
入稿が人力、ということは、当然パソコンも「ひとり1台」ではありませんでした。
編集部に入力用のパソコンが3~4台と、編集長と副編集長に1台ずつ、あとは2人で1台、という環境です。
当時はメールもインターネットも自由に使えなかったので、パソコンで仕事をすることもほとんどありませんでした。
原稿の校正も、今のようにパソコンのソフトで行うのではなく、いちいち紙で出して、赤を入れるやり方でした。
校正専門の人とも契約していて、専門の人と編集部とで二重のチェックをしていました。
最近の雑誌の編集部のやり方はわからないので、もしかしたらこの部分だけは変わっていないかもしれません。
というのは、雑誌という媒体の特性上、紙に出してみないと紙面のイメージがわかず、また色の出方もだいぶ違ったからです。
今のネット社会を考えると、あまりにも古すぎてびっくりしてしまいますが、本当に技術の進歩は目覚ましいものですね。
情報収集の手段が変わった!
1997年当時から数えて約20年後の現在は、出版社はどこも雑誌が売れなくて不況にあえいでいると聞きます。
それはまぎれもなく「インターネットの普及」と「スマートフォンの普及」によるものです。
かさばる新聞や雑誌を読むよりも、手軽に手のひらの上で見ることのできるニュースサイトはたくさんあり、電子書籍なども台頭してきています。
インターネットとスマートフォンの普及で、かつては雑誌や新聞が担っていた「情報力」がかなり減っていると考えられます。
会社でもパソコンはひとり1台は当たり前、中にはひとりで2台、3台と持っている人もいます。
ビジネスを円滑に進めるためにはインターネットを使って情報収集をし、営業の現場ではタブレット端末が大活躍しています。
もはやどんな仕事をするにも、パソコンとインターネットは欠かせないツールとなっています。
こんな時代だからこそ、ライターに求められている力とは?
また、ここ数年で一気に普及したものといえば「SNS」ではないでしょうか。
個人が自分の情報を手軽に発信できるようになり、今まで「情報を受け取る側」だった人たちが「情報を発信する側」になりました。
数々のニュースサイトやまとめ記事、個人ブログなど、今は情報が溢れている時代になっています。
何かを調べようと思ったら、単語を一つ入れるだけであっという間に検索することができるので「辞書を引く」という言葉も廃れつつあります。
では「情報を発信する側」でもあり「情報を取捨選択できる側」にいる人たちに、どのような記事を書けば興味を持ってもらえるのでしょうか?
あくまでも個人的な考えですが、ライターに求められているのは、ターゲット層に情報をコンパクトにまとめて発信する力ではないかと思います。
情報過多な時代だからこそ、知りたい情報が5分くらいで読めるようなコンパクトな記事になっていれば、スマートフォンからでも読みやすく、時間もそれほどかかりません。
パソコンよりもスマートフォンでの利用が多い今のネット社会では、情報を簡潔にまとめて読みやすくすることで「個人の発信」と差をつけることができます。
それが現在のライターに求められている力ではないでしょうか。
まとめ
約20年前のことを今回改めて振り返ってみて、環境の違いに自分でもびっくりしてしまいました。
年齢がばれてしまいそうですが(笑)、20年前の出版社と現在のネット社会を比べると、その情報の多さには雲泥の差があります。
雑誌媒体からネット媒体へ大きく変わったことで、ライターの私たちが出来ることをきちんと意識して、少しでも多くの人に見てもらえる記事を書きたいと思います。