実はパン工場と同じ! ライター業は、文章を書いて売る「製造・販売業」である

パン作り

「製造・販売業」というと、ライターの仕事からかけ離れているように思えるかもしれません。

しかし、仕入れや製造、営業などの観点で考えると、ライター業も立派な「製造・販売業」です。

ここではわかりやすくするために、パンを作るパン工場を例に、ライター業との関連性を考えてみたいと思います。

目次

仕入れ=下調べや下準備

パン工場では、パンを作るための材料を仕入れます。

たとえば生地を作るための小麦粉やバター、イースト菌などがありますよね。これらの材料を仕入れなければ、パンを作ることはできません。

ライター業も同じように、「仕入れ」がないと記事を書けません。

1本の記事を書くにあたって、さまざまな情報を収集し、ネタを書き留めておくなど、それぞれの記事によって下準備は違います

パン工場のように、実際に「形があるモノ」を仕入れるわけではありませんが、「情報」という名の流動的なモノを仕入れることによって、「記事」を製造する準備が整います。

また、モノを作るときは必ず「原価」があります。「原価」とは、仕入れたものの値段と、それを加工するときにかかる工数のことです。

パン工場なら小麦粉やバターの仕入れ値、それを生地にして焼き、1つのパンを店頭に出すまでの工数が「原価」となります。

生地をこねたりする機械の維持費や、人件費などがそうですね。

ライターの場合、仕入れ値はほとんどかかりません。今ではインターネットで多くの情報を得ることができるので、しいて言えば通信費くらいでしょうか。

パン

しかし、仕入れ値はほとんどかからなくても、工数はかかります。

記事を書くための下調べや構成、下書きなど、時間や手間がかかればかかるほど、工数は増えていきます。

そうなると原価が上がるので、純利益が少なくなります。

文字単価や記事単価で考えがちですが、普段から「1本の記事を完成させるまでにどれくらいの工数がかかったか」を記録し、把握しておくとわかりやすくなります。

製造・出荷=記事を書いてクライアントに納品

パン

仕入れが終わったら、次は製造過程に入ります。

パン工場では、パンを製造するのが主な役割です。仕入れた材料を元に、さまざまな種類のパンを製造します。

工場で作られたパンは、品質検査などのチェックを受けたあと、各店舗に出荷されます。

ライター業で言う「製造」とは、記事を作成することです。

パン工場と同じく、仕入れた情報を元に、記事を完成させます。記事を書いたら自分で校正し、チェックをしてからクライアントに納品します。

パンが店頭に並ぶということは、自分の書いた記事が各媒体に掲載されるのと同じことです。

製品をお客さんに買ってもらうということも、製造・販売業と共通しています。

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営業=テスト記事応募

作ったものを売るためには、営業が必要ですよね。

いつも買ってくれるお客さんだけではなく、新規顧客をつかむためには、営業努力は欠かせません。

パン工場で言えば、新しいパンを開発したり、売りたいパンを店舗で大々的に宣伝・販売したりすることが営業努力といえます。

ライター業での営業と言えば、新規クライアントへテスト記事を応募することです。

それまでの実績があって、自分の作品を売りにできる場合はまた別ですが、一般的な在宅ライターの場合は、契約前にテスト記事を書くことが多いです。

このテスト記事の出来によって、新規クライアントと契約できるかどうかが決まります。

自分がどんな文章を書くのかをアピールし、契約につなげて新規クライアントを獲得するという意味では、パン工場の営業努力と同じです。

売上=報酬

自分が作ったものが売れたとき、初めて売上が発生します。パンで言えば、1個150円のパンが2つ売れたら、300円の売上になります。

ライターの場合も、1記事500円を10本売ったら、5,000円の売上になります。

しかし、パンも記事も「売上=利益」ではありません。

売上から原価(仕入れ値やコスト)を差し引いたものが利益となります。

ライターの場合は原価を考えず、「報酬=利益」と勘違いしやすいのですが、記事を書くまでにかかったコストを計算してみると、想像以上に利益が低いこともあります。

売上はよくても原価がかかっている場合は、どこにコストがかかっているのかを分析することが大事です。

自分の文章を売るということは、責任があるということ

クロワッサン

たとえば、製造したパンに異物が混入されていたら、パン工場は大変ですよね。

パンの自主回収はもちろん、最悪の場合は営業停止になるなど、大きなダメージを受けてしまいます。

これは、自分の文章を商品にしているライターでも、同じことが言えます。

自分の書いた文章に決定的な間違いがある場合や、クライアントの希望とまったく違う記事を納品すればトラブルになります。

クライアントによっては、ライターの契約を解除され、仕事を失う可能性もありますよね。

在宅ライターの場合は、記事を納品した時点で著作権がクライアントに移るケースが多いですが、それでも「自分が生み出した文章」に変わりはありません。

署名入りではない記事だとしても、自分が製造した商品には責任があります。「自分の文章を売っている」という意識は、常に持っておきたいですね。
 

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まとめ

「ライター業は製造・販売業である」ということについて、パン工場を例にとって検証しました。

仕入れや製造・出荷、営業から売上まで、作るものが違うだけで、やっていることはパン工場と同じです。

ライターの仕事というとクリエイティブな一面ばかりが目立ちますが、「モノを作って売っている」という視点から見ると、ライターとしての姿勢が変わってくるのではないでしょうか。