ライターとして、こういう生き方もある。

離婚してインド

旅作家・料理冒険家のとまこです。はじめまして。

文章・写真・イラスト・料理を使って、Photoエッセイ・イラストエッセイ・レシピエッセイなどを出版しております。既刊は9冊、現在2冊を制作中。楽しいです。

初作品はイラストエッセイ『気がつけば南米〜いきなり結婚→南米へ! お気楽カップル180日間の旅〜』代表作はPhotoエッセイ『離婚して、インド』。

どうぞつっこんでください(笑)。

気がつけば南米
離婚してインド
2007年に出版した『気がつけば南米』(アスペクト)と、2012 年の『離婚して、インド』(雷鳥社)。後者は玄冬舎さんから文庫化予定。

今回、「ライターとして、こういう生き方もある」というテーマをいただきいろいろ考えました。ライターとはなんぞや、ライターとしてあるためにこうしてる。そんな内容がいいのかなぁとか。

自分のやり方を考えれば考えるほど、生きてきた道そのものが、作家活動に直結していて、切り離してお話することはできないなと改めて思ったところです。例えば、創作のために、結婚や離婚をしないようにね(笑)。なので、自分の歩みをそのままお伝えさせてください。

夢を見て、旅に目覚める

「旅」というテーマが自分に降ってきたのは小学校5年生のとき。夢を見ました。上越新幹線に乗っていたら深い森に到着するという短編です。

夢の中のわたしは、なぜかそこがカムチャッカ半島だとわかってとってもキラキラした気持ちに。ものすごくリアリティがあったのですよ。初めての海外体験ですね(笑)。

到着したところで目覚めましたが、そのときから海の向こうの世界を身近に感じ、自分の先に旅を漠然と見るようになりました。

高校生になり、進路室にいた顧問の先生の所へ行った時、いろんな職業の本が棚に並んでいるのをチラ見しました。弁護士、裁判官、行政書士……難しい熟語の職業ばっかり、完全に人ごとです。

そのとき「ツアーコンダクター」と書かれた背表紙がパッと目に飛び込んできました。カタカナで気安く、しかも「ツアー」という単語に共感を覚え。

コレか!」自分の進路が確定した瞬間です。

学生時代は、バックパッカー、国家試験、本を漠然と志す

大学生になると、リゾートバイトなどでお金を貯めてバックパッカーの旅を初めました。一方で『総合旅行業務取扱管理者』という国家試験を受けてフリーのツアーコンダクター(添乗員)をめざします。

高校の進路室で出会った例の本に、ソレさえあればフリーでできると書いてあった気がしたので。また、自分に会社員が勤まるイメージがなかったので(笑)。

まぁ、2年かけて受かってみたところ、ツアコンには直結していない資格とわかって爆笑しましたけど。

もちろん、持っているといいことはありますよ。会社に属すことに腹が据わったという利点もありました(笑・いきなりフリーで勤まる職業ではないことは、ツアコンになってわかりました)。

「本」への目覚めは、旅中に椎名誠さんの『楼蘭』という作品に出会ったことです。

「文字だけで、こんなリアルに旅してる気持ちになれるんだ!」と、文字の可能性にドッキドキ。いつか自分も本を書きたいなぁと憧れました。

新卒で秘境ツアーコンダクターに。イラストを始める

大学を卒業すると、秘境ばかり扱う旅行会社に就職してツアーコンダクターになりました。ニッチな土地に行きたかったから選んだ会社です。

中国の新疆ウイグル自治区や、チベット、マダガスカルやイランなど、いろんな所へ行きました。


新疆のタクラマカン砂漠の中を5日間キャンプして迫った憧れの『楼蘭』遺跡。生命の息吹を一切感じない蜃気楼まう異次元での時間は、その後に関わる新しい思考法と感覚、ついでに度胸もプレゼントしてくれた。編成された砂漠隊は、医師、料理人、方角技師、整備師、ドライバーなどなど15人の中国人スタッフと、日本人14人。

添乗中の仕事のひとつとして、毎日日記を書いてお客さまにコピーして配りました。

初めての添乗仕事だった4日目、なんとなくイラストをつけたら、お客さまが喜んでくださって。いや〜どこから見てもひどい有様なのですが(笑)。でも、おだてられると簡単に木に登るわたしは、どのツアーでも描き続けました。

すると、だんだんソレっぽくなっていったのです。

チベット
チベットの聖なる湖ナムツォ。海抜4718m。宇宙に近づいて、どんどん青黒くなる空に吸い込まれそう。空気は薄く、風は強い。日差しは厳しく、気温は低い。そんな地で、チベットの人々は祈る。ある人はここまで歩いて、またある人は激しい祈りの方法「五体投地」で100km離れた地からでもやってくる。五体投地は、大地にべたっと身を投げ出して起き上がり、数センチ進んでまたべたっと……を繰り返す、過酷な祈り。

マダガスカル
マダガスカルのバオバブの大地でマジックアワー……ひたすら放心。魂がぬけるってこういう感覚かぁ。他の星にぽつねんと佇んでいると思った。バオバブは「星の王子様」の名脇役としても有名な木で、多くの種がここにしかない。まだ地球上の大陸がひとつだったころにいち早く切り離されたマダガスカル島には、原始の生態系がたくさん残っている。

目標の100万円貯金達成、退社して南米へ。道すがら入籍

2年半がたち100万円が貯まりました。実は入社時、100万円貯まったら会社を辞めて旅に出ようと決めていたのです。

それで退社してすぐに南米へ。そこにしたのは椎名誠さんの『パタゴニア』というチリ・アルゼンチンにまたがる地域の作品が大好きだったから。

ちなみにそのとき、一緒に行くことになった彼と成田へ行く途中に入籍、図らずも180日間の南米7カ国のハネムーンになりました(笑)。

パタゴニア
パタゴニアは南米大陸、南極あたり。24時間走ろうとも、様子の変わらぬ広大な地、永遠の荒涼。ハッとするほどかっこいい、アート作品のようなフォルムの山々。言葉を失いつくすほどの迫力の氷河。世界が燃えてしまいました……そんな夕焼け。ちなみに、写真にある大地の黒い線が若干波打って見えるのは、それが山脈だから。広大すぎるでしょ……。

ウユニ塩湖で空飛んだ。氷河に勇気もらった。本の出版を決意

旅はペルーから入って、ボリビア、チリ、アルゼンチン……と進みます。途中ボリビアのウユニ塩湖を通りました。

「行った」ではなく「通った」と言うのは、ガイドブックも持っていなかったし、当時ウユニはまだ有名ではなかったので、チリに抜けるために仕方なく経由したからです。

そんな事前情報ゼロの状態で飛び込んだ世界は……アンデス3700m高地特有の、真っ青すぎる空。

自分がいるのは、浅い塩の湖の真ん中。足元からの一面に、真っ青な空が映り込んで、取り囲む天球全部が空になったのです。

空を飛んでる! そうとしか思えませんでした、放心……。

「空を飛ぶなんて夢みたいなことができたんだから、なんでもできるに決まってる」。

確信でした。それで、南米本の出版を決意したのです。

大空
ウユニの村から、ウユニ塩湖を抜け、風の吹きすさぶ寒くさみしいアンデスの村に泊まらせていただきながら3日。チリへと抜ける。

その後、アルゼンチンのペリト・モレノ氷河に行きました。何千万年も前からゆっくりゆっくり、1年にたったの2mずつ進んで湖に辿り着き、崩れ落ちていく氷河。長い長い道のりの集大成。

ちなみに、崩れ落ちる氷の塊は小さなビル分位はある大—きなやつですよ!

その様子を目の当たりにした時、気づきました。『やめなければ、絶対に辿り着く』って。

氷は何千万年も、気長に、前を向いて、ゆっくりでも、ゴールの湖をあきらめず進み続けた。ただそれだけと。大きな大きな気づきだし、偉大な勇気です。

やめなければ辿り着く。

氷河
氷河の小さめの崩落はほどほどに起こるけど、ビルほどの大きな氷塊が崩れ落ちるのはまれ。世界各国の人が、そのときを待ち続ける。4時間たった。ズッシーーーーン。大地の底から、怪物がうごめき飛び出す……そんな地響きを体で受け止める数分間。空気が感動でうめつくされた。

帰国、初出版へ向けて売り込む3年間

帰国してから原稿を書きはじめて3年、たくさん売り込みました。自分が思う全体量の1/ 3の原稿を、文章・写真・イラストを使って仕上げ、ファイルにして見てもらうスタイルです。

アプローチした出版社は50くらいはあります。初めは話もきいてもらえませんでした。いつも反応は一緒。

「あなた素人でしょ。旅の本は最も売れないんですよ。南米? あ〜日本人一番行かない所だから市場ないですね」。三重苦(笑)。

1ヵ月くらい続けると、だんだんこちらの売り込み話もスムーズになったのか、ファイルは見てくれる編集さんもしばしば。

ただ、もう一歩進めません。断られ続けても、自分を信じて、かき直し売り込み続けられたのは、空を飛ぶより現実に近いから。やめさえしなければ、いつかはゴールに辿り着くと知っていたから。

そんなこんなで3年、『気がつけば南米』というイラストエッセイを出版することができました。

印象的だった本屋さんのポップは、発売から3年後にみつけた新宿ブックファーストさんでのもの。「これは、旅の本ではありません。人生の楽しみ方本です」!!

確かにヘンテコな視点がいっぱい詰まった本なのですよ。おかしなツボや、看板にはまって探しまわったり、行き先は地図を開いて村の名前の語感で決めてみたりとか。例えば「チャチャポヤスだって。へんっ、いいっ! 行〜こおっと」みたいなね。

はたまた、どうしても椎名誠さんが『パタゴニア』本の中で書かれていたように、南米の最南端、ビーグル水道を旅したくて。船を探し回るもないから、思いあまって海軍に頼みに行ったり。瞬時に断られましたけどね(笑)。

結果、貨物船を発見、2泊3日でビーグル水道を旅することができました。本当に果て感漂う淋しいところでしたよ……シャチとペンギンと氷河ばっかり。

ビーグル水道
南極すれすれのビーグル水道、氷河にまみれる3日間。貨物船では食事も出してくれた。適当なハムチーズサンドばっかりだったけどね(笑)。

シャチ
シャチはかなり普通に泳いでた。ペンギンファミリーも多発。

旅の本を売り込みに行って、料理の本を出すことになる

正直言いますと、料理が特別好きな訳ではありません。新しいものを生み出すのがだーい好き! だから、新しいレシピを考えることは幸せそのものです。とはいえ料理本を志してはいなかったけど……。

旅の原稿をいつものように編集さんの元へ売り込みに行ったことがきっかけで最初のレシピ本『世界一周旅ごはん』が決まりました。旅写真とコラムも満載のわくわくするやつです。

そもそも「旅ごはん」とは、学生時代にはじめてずっと続けている儀式みたいなもので、生まれはこう。初めてバックパッカーの旅をして帰国すると、日本にいることが切なくて切なくて。あんまりにも旅の日々が楽しすぎたから。

「旅なんかしなけりゃよかった!」と心底思いました。だってそれまで普通の毎日も、楽しくって満足だったのに、まさか旅することで、日常に何かが足りなくなってしまうなんて。

「こんな思いを抱えて生きて行くなんて辛すぎる!」と、真剣に困りました。

でももう旅の感覚を消すことはできないし……切なさをどうにかしないといけないな。大学の正門脇に、愛車のビーノを停めたところでそう気づき、桜の木の横を歩きながら方法を考えました。

足元の視界には旅中着ていた赤いムームーの裾がちらつく……旅の気分を日常にとりいれればいいかな……はっ。

旅で出会ったごはんを再現して味わうのが手っ取り早いかも!

ところでこれの目的は「日々楽しむ」ということで、本格的に学ぼうとか、そういう類いのものではありません。

わくわく一筋! 楽しくておいしければオッケー。その日から輸入食材屋さんに通い、勝手アレンジの簡単レシピをどんどん作って行ったというわけです。

ときに家に友だちを呼んで旅ごはんパーティ。ドレスコードは民族衣装です♪そんなことを、旅エッセイ企画の売り込みを終えて、ゆるゆると珈琲を飲んでいるときに話しました。たまたまその週末に開催予定だったので。

すると、「その本、作りたいです!」って(笑)。

世界一周旅ごはん
24カ国のレシピ×Photoエッセイ『世界の味を再現! 3ステップ・10分クッキング 世界一周旅ごはん』(朝日新聞出版)

6冊の出版を経て離婚、そしてインドへ

結婚してからずーっと、早朝から深夜まで、書いて売り込んでの、あっつい日々を過ごして7年半、6冊目となる『世界一周旅ごはん』を出版したあと離婚しました。

だんなが、とまこにキャパオーバーだったのですよね(笑)。彼はいわゆる普通の家庭がほしかったのです。そのときのわたしはそれに応えられなかった。ごめんなさい。

すぐに別居をはじめましたが、自分が悲しいということにもちゃんとは気づけず、ただただココロがぐっちゃんぐっちゃんでした。

整然とした東京にはいられなくて、ぐっちゃんぐっちゃんなところに行きたいと思ったらインドが降ってきたのです。それで、すぐに。

インド旅、はじめの決意。全部なし

旅の2日目、インドの前に寄ったマカオで、『全部捨てればいいんだ!』と、ひらめきました。潔く全部。それまでやってきたように、決断して、その通りキッパリと。

離婚するほどこだわってきた文章も終わり。出版してきたわずかばかりの実績もなし。結婚していたことも忘れるし、名前も変えよう、女なんて紙切れ一枚で変わるんだから何でもいいでしょ。

そうだ、半年前に目覚めて夢中になっている一眼レフカメラと歩もう、新たに写真家としてゼロからはじめて売り込もう。ココロ次第でなんだってできるんだって。

コレで解決、なんて前向き!って(笑)。

マカオ
マカオはおさんぽが本当に楽しい。特に夜の灯りが好き。密集するレトロな建物、昭和レトロ×ポルトガルデザインの喫茶、チャイナな提灯、ギンギラどぎついカジノ群。

インド旅、離婚届けを出す日。全部あり

新たな決意を胸に、インドでの旅がスタート。

陽気でココロの壁のない人たちにまみれて、深いカルチャーショックを受け続け、この地に昔から根付く自然哲学アーユルヴェーダ(生まれ持った性質を最大限に生かして幸せに生きる人生哲学。そこから派生して医療やエステになる)に触れて。だんだんとココロが、奥底の方でほどけていったようです。

過去を切り捨てて、楽しい顔で旅して3週間、だんなが離婚届を提出すると約束していた日がやってきました。「今日から新しいわたし」そう口にしたとき、切り離していた過去の全てが、自分に戻ってきたのです。

『同じわたし』だって。きのうから……その前からずーっと歩いてきた自分の続きが、今の自分だって。

過去あっての今で、明日もあさっても1年後も10年後も、ずっとこのまま続いて行くんだ。新しいわたしの一部は確かに芽生えるし育てたい、それは、今の、そのままの自分に積み重ねればいいだけだって。

許せたのですよね、自分のやってきたことを。これは、すごく大きかったです。

インド
インド最西、パキスタンとの国境ぎりぎりにある白砂漠。ブージという町からオートで5時間。行き方がわからず模索する中で、友だちになった人たちに連れてきてもらう。

インド旅、歳を重ねるのは魅力的

自分の全てを受け入れてからの復活力は勢いがありました。過去を認めることで、大きな喜びが他にも。歳を重ねることがとっても楽しみになったのです。

過去が積み重なって今、そして未来なら、生きてきた全てが自分の「旨味」となるってことで。来年はどんな「味わい」を重ねているかな、10年後はどんな扉を持っているのかな……生きて経験と思慮を積むって、それだけで既に魅力的、生きたもの勝ち(笑)!

そうか、哀しめばいい、怒ればいい。

哀しみや怒りに、気づかないふりをして笑ってきた自分。むしろもったいない。苦しいなら、苦しさにちゃんと向き合って、その結果笑えばいい。ちゃんと噛み砕いて、ちゃんと飲込めんで、じっくり時間をかけて消化して……それが自分だけのオーラになっていくんだって。

わたしは喜怒哀楽の全てを、やっと、許すことができました……離婚を、愛を失ったことを、やっと、本当のところで哀しめました。

ナーシク
ゴダバリ川の街ナーシク。ムンバイから東へ、バスで5時間ほどのインド中西部。バラナシに並ぶ聖地とされる。観光客は少なく、素の、深い深い信仰だけが目に飛び込んでくる。子供も大人も沐浴場で大はしゃぎ、とっても明るい聖地!

インド旅、未来じゃない

インドに暮らす多くの人たちの、感情むき出しの生き方はとっても刺激的でした。

「今この瞬間が楽しくってしかたないー!」とばかりに絡んできてくれる人たちと、日々たくさんたくさん笑い合っていると……「今でいいんだ」、ストンと納得。それまでも、瞬間瞬間を楽しく生きてきたつもりです。

でもそれは、「楽しい未来に向かうための、楽しい今」だったみたい……そうではなくて「今」。「楽しい今の積み重ねが、楽しい未来」だって、気づきました。

わたしは、「今」を歩き出しました。

沐浴場
ナーシクの沐浴場で、大はしゃぎのボーイズ。

インド旅、失うことを怖がらなくて、いい

インドでの2ヵ月の旅の最後、ヒマラヤの麓にいました。ガンジスの源流に行ってみたかったのです。人々のココロの深い所を流れる聖なる川の原点に。わたしも洗われてみたいなって。

そのときは5月。インドの大半の地は日中50度近い猛暑の時期だけど、高所ヒマラヤは事情が違います。寒すぎてまだ巡礼者もいないので村ごと閉まっていて、バスなど公共機関もお休みでした。

とはいえ、行けば川はあるはず。バイクで川沿いを登って行けばいいかなと思い当たりました。友達になった日本人に乗せてもらってね(正確には、諸事情あり、同じくヒマラヤの上、川の源流の方にあるヴィシュヌ神の聖地バドリナートへ)。

おんぼろバイクでのヒマラヤ山道4日間は、ひどい道、事故、バイクの故障、寒さ、宿がほんとにないー! などなど、なかなかハードな日々でしたよ……。

ヒマラヤ
ヒマラヤの山々の崇高なオーラに包まれる、あの感覚……伝われっ。

が、生還したのですよ(笑)。いろんなアクシデントを受け入れ、受け流し、解決し、ちゃんと拝んで帰ってきました。きっと、行くべきと感じて進んだ道のりだから、いろいろありつつも、自分たちを受け入れてくれたんだな……生きる道と同じだなぁって、思いました。

自分の本当の「心の声」を聞いて、そのとおりに歩くなら、そのときどき、必要な出逢いと別れ、物事や場が与えられる、そういうことかな。


『LIFE IS A JOURNEY ENJOY THE DRUVE』標高はぐんぐんあがり、風景はますます壮大に、道はどんどん壮絶に。そんな中、こんな言葉のプレゼント。インドって、本当に粋な地。

バイク旅の最後、二つの川が合流するスポットにさしかかりました。みんなが沐浴しています。じゃあ、わたしたちもと、Tシャツに着替えて沐浴。

冷たい雪解け水に浸かり……冷たすぎて無になった後、ココロに水がどんどん入り込み流れて行くのを感じました。「ぜーんぶ流して、持ってって」。水にお願いしました。ただ、怖くなったことがひとつ。

大切なものは持っていかないで……。

川から出て気づいたのは、大切なことだけは残っていました。「笑顔で、信じる道を進みます」ってことが、残っていました。そっか……水草が大切なものを絡めとってくれていたんだ。それが、自然の摂理だって。

いらないものは、流れ去る。本当に大切なものは、きっと残る。そのとき残らなかったものは、そのときには必要なかったもの。

だから、流れに任せればいい。『失うことを、怖がらなくって、いい』。大きな、大きな、生きる勇気です。

川
みごとに色の違う川があわさる。お互いに妥協して、何かをぐっと飲込んで。そしてひとつの川になる。ちなみに帰国して調べると、その合流地点より先を、正確には「ガンジス川」と呼ぶとのこと。どえらい聖地だ。

その後から今に至るまでも失敗は山ほど。書籍などいろんな企画を山ほど作ります。いろんなことに挑戦します。

ダメになることも多いです。納得いきづらいこともあります。自分の力ではどうにもならないときもあります。人間関係や恋愛だってそう。うまく行かないこともあります。

そういうとき、今は必要なかったんだなぁ、違ったんだなぁ、こうなることが必要なんだなぁ。そう、素直に受け入れられるのですよね。ココロにとってもやさしいです。

インド旅を、本にする

この旅そのものを、本にするつもりはありませんでした。それが、いろいろ授かった思いを日本の日常で改めて噛み砕く作業の中で、伝えたいと思うようになりました。

『夢、仕事、結婚、子供』。程度の差こそあれ、同じような問題を抱える人は多いはずです。わたしが授かったものを、伝えたい。夢にまっしぐらに突き進んで、愛を失い、立ち上がって、また歩き出し、笑う、わたしの思いを。

書籍企画を作り、売り込んで、帰国してから1年半後に『離婚して、インド』をPhotoエッセイとして出版しました。

実は、インドに旅立ったのは2011年3月11日の午前中。震災の直前です。あのときは、自分に精一杯で、海外にいるからこそ何かしようとか、そういう思いは起こりませんでした。が、今はわかります。

うれしいことに「バイブルです」とご感想をくださる読者さんもわりといらっしゃって。思いが届き、役に立っているんだなぁと、しみじみ、しみじみ感激します。

そうか、神さまはあの本を書かせるために、わたしを日本から出したのかなぁ。そんな風に、思えるのですよね。

離婚してインド
『離婚して、インド』内表紙

現在、2冊の本を執筆中

離婚してからもやっている大筋は同じです。まぁ、続けるために離婚したようなものですしね(笑)。

離婚後、書籍制作(離婚後は3冊を出版)、雑誌の原稿、旅や食がテーマの連載、イラスト、写真。売り込んでとってくるものもあれば、ご依頼いただいてやるものもあります。内容も仕事の幅も進化していて、講演やラジオ、TV出演もときにはあります。

稼ぎは悪いです(笑)。そして、とっても楽しいです! わたしはそういう魂なのです。

自分にウソをつけない。やりたいことに進み続けるわがままな魂……ちょっとがまんして、生きやすくする方法もあると思います。それを選んでいる自覚のある人もいると思います。それぞれが才能なのですよね。がまんする才能、できない才能。

世の中に「正しい」なんてどこにもないですね。自分がなにを選ぶか、ただそれだけ。

現在は2冊の本を執筆中です。1冊は、『離婚して、インド』の文庫本。内容をぐっと深め、量も3倍ほどにするため、はじめからの制作です。またもう1冊は『ビューティ♡WPRLD TRIP』という世界の美容法を巡るエッセイ。

そして、「こういう生き方もある」というテーマなら、きっと期待される項目は結婚でしょう(笑)。したくないわけではありません。相手がいない訳でもありません。したくなったら、するんだと思います。

ココロの声が耳に入りすぎるのって、客観的、一般的な目線で言うと、世渡りベタなんでしょうね(笑)。

ただ、言えるのは、完璧に楽しいってことです。

この記事を書いた人

とまこ
とまこ
文字と写真と絵と料理で、旅を表現するアーティスト。おしゃれパッカー部長。 小5のき、カムチャッカ半島の森に新幹線で行く夢を見て以来、旅に憧れる。明治大学在学中にバックパッカーデビュー、卒業後は秘境添乗員に。気がつけば退社して南米へ。その前に成田への道すがら入籍。後に離婚。テレビ、ラジオ、講演会などでも活躍。訪れた国は55カ国以上。特技はよそみ♪ 『離婚して、インド』(雷鳥社)『世界一周旅ごはん』(朝日新聞出版)など、既刊9冊。
HP http://tomako.tv
blog おしゃれパッカー的なやつ http://tomako.net/

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