インターネットが普及して、出版業界が苦境にあえいでいるという話をよく聞きますよね。
言われてみれば、ここ最近は雑誌を買うことが少なくなったような……。でも実は、ライターの目線で見ると雑誌には記事作成のヒントがたくさん隠れているんです!
実際の雑誌を見ながらご紹介したいと思います。
目次
「タイトル付け」に困ったら雑誌を開こう!
記事を書くとき「タイトル付け」に困った経験はありませんか? ぱっと浮かんでくる人もいれば、なかなか思いつかなくて苦労する人もいますよね。
ではここで、実際の雑誌に使われているタイトルを見てみましょう。
ファッショニスタに聞く”私をアゲてくれる↑逸品”
出典:オトナミューズ2016年1月号・54P/宝島社
「オトナミューズ」という雑誌は女性誌です。このタイトルに魅力を感じるのは「ファッショニスタに聞く」という部分ではないでしょうか。
「OLに聞く」や「20代女性に聞いた」という言葉は親近感が持てますが、より専門的に聞こえる「ファッショニスタ」という言葉を使うと「流行最先端の人がおすすめしている逸品って?」と惹きつけられます。
各分野の目利きが威信をかけて審査&使い勝手を徹底検証! カバン・オブ・ザ・イヤー2015
出典:MonoMax2016年1月号・16P/宝島社
「MonoMax」は男性向けの雑誌です。このタイトルで一番効果的なのが「各分野の目利きが」「威信をかけて」という部分です。
先ほどの「オトナミューズ」と同じく、「各分野の目利き」という専門性を感じさせる言葉を使っていることで、読み手に興味を抱かせることができます。
また「威信をかけて」のような「追い込み言葉」を使うと、「各分野の目利き」という言葉がより強調されて、さらに効果的ですよね。
「ファッショニスタ」や「各分野の目利き」など、範囲を限定することで「特別感」をあおり、「読みたい!」と思えるタイトルになっています。
ネット上に掲載する記事も、目を引くようなタイトル付けが大事です。
どうしても思いつかないときは、雑誌のタイトルのつけ方を参考にしてみてください。
リード文は本題への「誘い水」
記事の導入部として大事な「リード文」。いくら魅力的なタイトルをつけても、リード文で読者を惹きつけられなかったら読んでもらえませんよね。
雑誌の世界では、どんなリード文が使われているのでしょうか?
タイトル:毎日のテンションをアゲる12のスイッチ
リード:甘いもの、花束、気になる彼からのLINE、特別なイベントがなくても意外とささやかなことで女は心を躍らせるもの。
パート1では、ドレスアップするのではなく、いつもの普段着にちょっと何かをプラスしたり、選び方を変えてみるだけで気分が高まる、そんな日常のテンションを上げる12のスイッチを提案します!
出典:オトナミューズ2016年1月号・24P/宝島社
「毎日のテンションをアゲる12のスイッチ」というタイトルに対して、「甘いもの」「花束」などの具体的な例を挙げて「ささやかだけどテンションが上がりますよね」と共感を得たあと、「日常のテンションを上げる方法」という記事のテーマへ誘導しています。
リード文はタイトルに沿った言葉を選ぶのはもちろんですが、本題である記事を読んでもらうための有効な「誘い水」です。
まず最初に読み手が「共感」できる言葉を持ってきて、最後に記事本文を読ませるような「誘導」をすると、効果的なリード文になりそうです。
短い文章構成に学ぶ「短くても伝わる文章」
文字数が決まっているのはネットの記事も雑誌の記事も同じです。
印象的な言葉や共感してもらえる言葉の使い方次第で、短い文章でも言いたいことは伝わります。
ここでも雑誌の文章構成を参考にしてみましょう。
色の魔法。白を着るとピュアな気分に、ピンクならフェミニンにと、どんな色も心に影響をもたらすけれど、赤ほど女心を上げる色はないと思う。無彩色になりがちな冬のニットを赤に。
出典:オトナミューズ2016年1月号・32P/宝島社
ファッションについての記事ですが、短い文章でも起承転結がはっきりしていてわかりやすいですよね。
その文字数はなんと78文字。100文字に満たないほどの短い文章です。
出だしの「色の魔法。」という印象的な言葉から、流れるように文章がつながり、最後が「ですます調」ではなく「言い切り型」になっているのが効果的なようです。
こんなに短い文章でも「赤い色のニットがおすすめ」ということが伝わってきますよね。
文字数が限られているときほど、インパクトのある言葉と文章の流れが大事だということがわかります。
まるで「言葉のパズル」ですが、だらだらと長い文章よりは簡潔にまとめられた文章の方が読みやすいし、読み手の心にも残りやすくなるようです。
まとめ
女性向けの雑誌と男性向けの雑誌から、タイトル付けやリード文、短くても伝わる文章について、学べることがとても多くありました。
最近は電子書籍などもあるので、雑誌を書店で手に取る機会も減ってしまいましたが、記事を書くときに煮詰まったら気分転換も兼ねて雑誌を読んでみると、何かヒントが隠されているかもしれませんね!