フリーランスが絶対やっておきたい節約術その1「青色申告特別控除」

フリーランスになって、初めて確定申告をすることになった人も多いことでしょう。そこで今回から数回にわたって、フリーランスにおススメの節約・節税術をご紹介します。確定申告の時「申告書の記入を失敗した気がする」「税金が思った以上に高い」と感じている方は、ぜひ参考にして節約・節税を目指してみてください。

目次

確定申告「白色申告」と「青色申告」の違い

確定申告には白色申告(通常の申告方法)と、青色申告があります。白色申告は青色申告に比べ圧倒的に事務手続きが楽なので、こちらで手続きしている方も多いことでしょう。

しかし白色申告は節税対策としてはNG。実は青色申告には「青色申告特別控除」があり、65万円の控除が受けられます。そのほかにも赤字を繰り越せる、家族への給与を経費にできるなど、節税に役立つメリットがたくさんあるのです。

税金は所得にかかりますから、収入に対して受けられる控除額が多ければ多いほど節税になります。白色申告を続けている人は青色申告にあるような控除が受けられない分税金を多く納めていることに。「家計の出費を少しでも減らしたい!」という人は、ぜひ青色申告への切り替えを検討してみましょう。

自分が青色申告対象者かどうかをチェックしよう

青色申告ができるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」がある人のみ。フリーランスは個人事業主ですから「事業所得」にあたり、申請することで青色申告が可能となります。ちなみにサラリーマンなどは条件に当てはまらないため青色申告はできませんが「給与所得控除」によって最低65万円の控除が受けられます。これは源泉徴収票に記入されていますから、気になる人は確認してみましょう。

注意したいケースとして、夫が個人事業主で妻が夫の事業を手伝いながらフリーランスをしているような場合です。このとき妻を「専従者特別控除」としていると給与所得者扱いになり、青色申告対象者の条件に当てはまらず、白色申告しかできなくなってしまいます。結果として夫の事業の手伝いが本業となり、フリーランスは副業扱いになるので、本業に支障がない程度の雑所得として副業の活動が制限されます。もしフリーランスの仕事を優先(本業)して青色申告したいのであれば、夫の事業による「専従者特別控除」を利用しないようにしましょう。

青色申告をする方法

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青色申告をするには届け出が必要です。「開業と同時に青色申告をしたい場合」と「白色申告から青色申告に変更したい場合」とで手続き方法が異なりますので、以下を確認してください。

・開業と同時に青色申告をしたい場合(初年度の確定申告から青色申告が可能)

「個人事業の開業・廃業等届出書」を開業から1カ月以内に提出
「青色申告承認申請書」を開業から2カ月以内に提出

・白色申告から青色申告に変更したい場合(次年度の確定申告から青色申告が可能)

「青色申告承認申請書」を3月15日までに提出
(「個人事業の開業・廃業等届出書」をしていなかった場合は、同時に提出)

白色申告から青色申告に変更する場合は、次年度からになることに注意が必要です。例えば今すぐにでも変更したいと思っても、届け出は可能ですがその年は白色申告になりますので間違えないようにしましょう。

・[個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁](http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm)

・[所得税の青色申告承認申請手続|国税庁]
(http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm)

青色申告承認申請書の書き方

申請書には住所、名前、職業などを記入していきますが、最後の6項目目に「その他参考事項」として「1.簿記方式」「2.備付帳簿名」という欄があります。突然出てきた専門用語にあせってしまう人もいるかもしれませんが、これは65万円の控除を受けるために欠かせない部分になりますから、間違えずに記入しましょう。

1.簿記方式

以下3つから該当するものを選ぶようになっています(複式簿記・簡易簿記・その他)
ここでは65万円の控除に該当する「複式簿記」選んでください。ちなみに「簡易簿記」だと10万円の控除になります。

2.備付帳簿名

以下から該当するものをすべて選ぶようになっています(現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳・預金出納帳・手形記入帳・債権債務記入帳・総勘定元帳・仕訳帳・入金伝票・出金伝票・振替伝票・現金式簡易帳簿・その他)フリーランスではほとんど使わないものもあるでしょう。各項目の詳しい詳細は省きますが、以下あたりをえらんでおけば大丈夫です。

  • 現金出納帳(現金の動きを記入したもの)
  • 売掛帳(後日支払われる取引を記入したもの)
  • 固定資産台帳(仕事で使う高額の道具など、減価償却する内容を記入したもの)
  • 預金出納帳(預金の動きを記入したもの)
  • 総勘定元帳(すべてのお金の動きを勘定項目別に記入したもの)
  • 仕訳帳(すべてのお金の動きを仕訳して記入したもの)

ちなみにこのとき選んだ項目は、日頃自分が付ける帳簿になります。実際に作業を進めることで増えたり減ったりすることがあっても問題ありませんし、確定申告の際にも各帳簿を提出する必要はありませんのでご安心を。また、ほとんどの会計ソフトなどでは一部の帳簿をつけることで他の帳簿が自動作成される機能がついているため、実際に記帳する帳簿は上記で選んだ帳簿よりも少なくなります。

フリーランスの青色申告は手間が少ない

個人事業主は青色申告をすることで節税できますが、面倒に感じている人も多いことでしょう。しかしパソコンを使いこなせるフリーランスなら、会計ソフトを利用することでほとんど手間なく作業をすすめるとができます。さらにパソコン一台でほぼ仕事ができるフリーランスなら、販売業や飲食業、製造業などと違い仕入れるものや材料などもほとんど必要ないため、記入する項目そのものが少ないのです。これでほかの業種同様に青色申告特別控除が受けられるのですから、とてもお得といえますね。

「帳簿」って何?

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平成26年1月から帳簿保存等の義務化に変更があり、白色申告・青色申告にかかわらず帳簿付けや保存が必要になりました。帳簿は事業のお金の動きを記録したもので、家計で言うところの「家計簿」のようなものです。

一見複雑で手間がかかりそうですが、フリーランスは他業種と違って複雑なお金の動きがほとんどないので「こづかい帳」感覚で記録できるでしょう。表計算ソフトでもある程度カバーできますが、会計ソフトを導入したほうが作業効率が格段にアップします。

記入方法については次回以降でくわしくご紹介しますが、お金を使ったり報酬の振り込みがあったりしたら、忘れずに記録しておく習慣をつけること。プライベートと仕事両方で使うために買ったパソコンなども青色申告なら一部を経費にでき節税できますから、家計簿の記録も忘れずに!

青色申告を挫折しそうなときはどうする?

青色申告の届け出をしたものの「帳簿付けが面倒になった」「思ったほど稼ぎがなかったので手間を減らしたい」「パートに出ることにした」などの理由で、白色申告に変更したいというケースも少なからずあるでしょう。この場合は「所得税の青色申告の取りやめ手続」を止めたい年の翌年3月15日までに提出すればOKです。

・[所得税の青色申告の取りやめ手続|国税庁](http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200008.htm)

青色申告は「自分のため」にはじめよう

初めての青色申告ともなれば手続きに慣れるのに精いっぱいのため、なかなかそれ以上のことを目指すのは難しいもの。会社の場合は会社でまとめて社員の税金手続きをしてくれますが、個人事業主(自営業、フリーランスなど)は自分で手続きをしなくてはいけません。「白色申告でさえ大変なのに、青色申告なんて……」という人もいるかもしれませんが、収支を正しく把握するためには欠かせないことなのです。自分の仕事を軌道に乗せつつ生活していくためにも、ぜひ積極的にすすめてみましょう。

だれでも最初は手続きミスなどの不安があるものです。しかしミスがあっても後々修正して税金の還付を受けることもできます。気になる点は税務署で確認したり、ネットで調べたり、専門書籍を参考にするなどしてひとつずつ疑問を解決していきましょう。何度もやるうちにコツがつかめて、すんなりと作業ができるようになりますよ。